全日本総合決勝で敗れた高橋松友ペア。五輪金メダルからこの二人にはずっとモチベーションの話題が付きまとう。果たして東京五輪レースに戻って来れるのか、年明けになったらある程度考えが固まるだろうか。
この敗戦の前に上がっていた話に前述もモチベーションともう一つ、「松友が後衛に回る」というワードがスポーツニュースで取り上げられていた。
はっきりいって、このペアの持ち味は高橋の後衛からのアタック力、決定力、そして松友のフロントコートでのゲーム支配力である。球を作る松友がいて、後衛で高橋の高橋が生きる。後衛に高橋がいるから、前衛で松友が好き勝手できる。サイドバイサイドでもその差ははっきりとわかる。松友は前へ前への意識で常に隙を伺い、逆に高橋はしっかりと足を止めて強いリターンを心がける。
このペアのこの持ち味からさらに進化したいという気持ちは、強いモチベーションがあってこそ成り立つもの。世界一を目指せるなら、どんなにこのパターンで敗戦しても次へ向かって行ける事ができただろうが、世界一を見たペアが新しい事に挑戦していくというのは、とても大変だったのではないだろうか。挑戦する事で、楽勝だった相手に苦戦し、負けなかった相手に負ける事がでてきた。この時に次へ向かう為には目標であり、世界一を得た高橋松友には、その目標の力が薄かったのだろう。
過去、MD舛田大束は、パクジュボン監督からの「ノーロブ指令」を拒否し、しっかりしたロブからラリーしていく選択をとったとの話を聞いた。これは、当時ベテランのこのペアの、今までのスタイルを崩したとしても世界ランカーとは戦えないと考えたのだろう。高橋松友は、果たして大きな変化をして成功の先を見る事ができたのだろうか。個々の能力向上としての前衛高橋、後衛松友はあっても、この高橋松友の軸は前衛松友後衛高橋であって、それを大前提として突き進んでいければ、ここまでのモチベーション低下は無かったかもしれない。
だいたい、「モチベーション低下」って言っているが、それは本人に聞いたわけではないし、そもそも休みたいだけかもしれない。最初から東京五輪に合わせての個々の練習としての前衛高橋後衛松友をしているだけかもしれない。たぬ吉としては、よりパワーアップした前衛松友後衛高橋の姿が来年何も無かったかのように見られる事を望む。