今考えると、どうでもいい町の試合だった。

社会人になってなんとなくバドミントンに復帰して2年ほど。高校のインターハイのような、大学のインカレのような明確な目標がまったくなく、おそらくこの頃は全日本社会人なんてものの存在すら知らなかった。週に2回ほどバドミントンを楽しみ、ただそれだけのバドライフ。

ただ、やはり小、中、高ときっちりバドミントン漬けの生活だっただけに、やっている以上は大会に誘われてしまう。それでも、なんとなくとしか考えてなかった。クラスもCクラスで何度か勝ったりして、逆に負けたりして、それでよかった。特に感じるものも無く。

そんな社会人バドライフが2年ほど、また別な人に誘われて大会へ出る事になった。

「Aクラスで申し込んどくから」

え?Aクラスってみんな強いんじゃないの?ここから急に心境が変わり始める。今までの試合は何だったのだろう。特に考えもせずでていた試合から、急にその「Aクラス」という言葉に心が折れ始める。俺でいいのだろうか、何で俺なんだろう。そんな葛藤のまま、いわゆる町のAクラスの大会の日を迎える。

Aクラス、やはりなんとなくでていた試合とはまったく雰囲気が違っていた。が、なんだろう、特に問題なくやれる。むしろこの一進一退の攻防がたまらない。下のクラスで負けてもなんとも思わなかったが、素直に「負けられない」と感じたのはこの大会が社会人で最初だった。

もちろんそんなふらふらしていただけに戦跡も無く、Aクラスの第一シードの山に突っ込まれたわけだが、その第一シードは大先輩。頭が上がらない。それでも気持ちは変わらず、1試合よりは1ゲーム、1ゲームよりは1点、1点よりは1打をとりたいという強い気持ちが生まれていた。いまだに、10年以上前だがいまだにラリーを思い出せる程集中していた。ファイナルの末第一シードを破り、Aクラス初戦にして、町の大会ではあるがベスト4という成績だった。

この試合から、徐々に社会人での目標が生まれてくるわけだが、上記の全日本社会人大会に出るのは、この試合から10年近く経った後だった。



何がいいたいかというと、目標は大切だよ、と。ただそれだけ。