芥川賞、普段なら目にも止めないものだが、今回ばかりはやけに印象に残ってしまった。この2人の受賞者の対比は、まさにこの賞こそが作品になってしまいそうな気さえする。

芥川賞の授賞式前に控え室で、30分でも二人きりになったならば、そのまま来年の芥川賞の候補作品が出来てしまいそうなほど、このありえない二人にはそれぞれ惹かれるものがある。

親類へのあいさつから受賞連絡の日一日の過ごし方、感情、会場までの道のり、たぶんこの二人は空の色、空気の色まで違う色に見えるように感じてならない。

これほどまでに相容れない二人が同じ賞を取ってしまう日本文学、懐が深い。