さて、バドミントンの「サーブ」について、色々と言いたい季節になりました。どんな季節かはわかりませんが、欲求不満か情緒不安定か、暖かくなるとでてくるような、そんな駄文とご理解ください。
■サーブのルール
だいぶ簡略化されました。簡単に思いつく限り羅列します。
・両足がコートに接地して動かない事
・インパクト時に、シャトルが115cmを超えない事(一部でも超えたら不可)
・レシーバーが構えている事
・インパクト時に、ラケットとシャトルのコルクが最初の接点である事
漏れていたら申し訳ないです。ざっとこんな感じ。
これらを守れば、ルールとしては正しいサーブと言えます。
■サーブのマナーとは?
ここで問題となるのが、サーブのマナーです。ひとまず、落ち着いて読んでいただきたい。
・ピンサーブ(ドライブサーブ)はマナー違反
・スピンサーブはマナー違反
このような風潮がある、ということをご理解ください。
ルール上問題ない、実際はそうなんですが、スポーツというものはこのような事が多々あります。
記憶の限り並べると、
・メジャーリーグでは、点差が開いた状態で盗塁をしてはいけない
・サッカーでは、怪我をした選手がいたらボールを外に出してプレーを止める
・卓球では、0で相手を押さえて勝ってはいけない
スポーツについてを調べ上げたわけではありませんが、それでもこれだけのルールではないルールのようなものが存在するらしいのです。バドミントンのサーブも、これと同様とするような考え方が、少なからずあるのです。
なかには「サーブは、サービス」と言う方も、いらっしゃいます。その意味を考えろと。
■実際に周知されているサーブ規制
高体連では、実際に問題になった事例があります。全国大会の終盤、要所でスピンサーブを使い出しました。左手でシャトルを弾き、打ちだすというスピンサーブは当時対応できず、点数を重ねたと聞きます。動画がyoutubeにもあるとのことなので、探してみてください。この時、当然相手選手は「違反ではないのか」と主審に確認をしました。結論は「フォルトとは言えない」。上記のルールから外れていないので、フォルトにはなりませんでした。
ただし、その後に「スピンサーブは推奨しない、積極的に指導することがないように」と全国の高校指導者に通達が下ったそうです。
小学生では、115cm以下というルールから、
・肩口からラケットを上から出してサーブを打つ
という手法が、身長から可能になりますが、そのルールが出た時点で、やはり「将来のことを考えて、通常のサーブから逸脱した打ち方を指導しないように」という通達が下っています。
これらは、ルールでは違反ではありませんが、各カテゴリの連盟が、注意をしている状況になります。
フォルトではないのに相手や周囲によく思われないサーブ、これが確かに存在しているのがバドミントンなんです。
■たぬ吉はどう考えているのか
このような、明記されていないグレーゾーン、紳士に振舞えば問題ないという曖昧な線引きは、新規のプレイヤーの障害になる恐れがあります。ルールブックを見て「こんなサーブ打てるんじゃない?」と考えて歴の長い選手に立ち向かい、苦言を言われてつまらなくなる。そんなケースは少なからずもうすでに存在しているのではないかと思います。ダブルスのロングサーブですら良く思われない、そんな世代も間違いなくあるのです。
では、どうしたらよいのでしょう?
◇ピンサーブ(ドライブサーブ)について
まずルールを確認しましょう。
・115cm以下で打たなければならない
あなたのピンサーブは、本当にこれを守れていますか?
もし守れているなら、私は問題ないと思っています。ですが、実際にサービスジャッジがいて、器具があって、それで確認できているでしょうか?もし曖昧なのであれば、あまり使うべきではないと思っています。ルールを守る事が第一で、そのルールを守らせる審判がいない状況で、グレーなプレーは好まれないと思うからです。
もし、そのルールを守れているのであれば、レシーバーの技術でピンサーブのリターンでエースをとることは難しいプレーではありません。準備さえできていれば簡単にエースをとる事ができますし、現にトップ選手のゲームでも虚を突かれて失点することがほとんどです。対応はそれほど難しくないですし、それに対して練習することの方がよっぽど大切だと思います。ショートサーブのリターン、ロングサーブのリターン、そして、ピンサーブのリターンも同様に練習するといいのではないかと思います。
◇スピンサーブについて
1.トッププレイヤーがガチで使い出す
有名なところでは、インドネシアのスカムルジョ選手が要所で使っています。当然ですが技術も高く、相手選手がストレスを抱えながら主審と会話する場面をよく見かけます。日本では渡辺勇大選手も使います。菊池裕太選手は、キレイにスピンサーブを打ち分けている動画をあげていらっしゃいました。
どの場面でも、ルール違反ではないのでフォルトは取られません。高さはサービスジャッジが睨みを聞かせてフォルトをとる場面がかなりありますが、スピンサーブで「インパクトが羽根でした」なんてフォルトの場面は見たことがありません。
このような状況で、トップ選手はどう考えているのでしょう?
実は探していたのですが、あまりはっきりとした回答は見つかりませんでした。実際のところ、特にダブルスでトップ選手全員がスピンサーブを使っているかと言えばそうではなく、ある一部の選手が使っているということにとどまっています。世界ランキングの上位選手からしたら、今はそのサーブでは勝てなくなっていると言えるのかもしれません。つまり、技術が高いからそんなサーブにも対応できる。対応されるなら突き詰めてもしょうがないし、他の練習に時間を割く方がよっぽど有意義だと。
ですが、もし極めた選手が現れたとしたら、バドミントンのサーブは大きく変わると考えられます。
2.許容か、拒否か
ここで初めてルールが検討されるでしょう。
スピンサーブで世界チャンピオンになった選手に対して、その選手が称賛されるのか、もしくは。。。
実はこのサーブを出せないようにするのはそれほど難しくはありません。
・シャトルを保持する手で、シャトルに故意に回転をかけてはいけない
・ラケットで故意に回転をかけるように打ってはいけない
2番目はかなり抽象的な表現ですが、いわゆるスピンサーブはだめですよ、という認識は選手も指導者も持てると思います。スピンサーブで勝ち上がる選手が続出したとき、もしくは一部のトップ選手が異常な勝ち上がり方を見せたとき、BWFは真剣にルールを考え出すでしょう。今現状はそこまでではないため検討はされないと考えられます。
私としては、どちらでも構いません。ピンサーブやスピンサーブが常態化しても構わないし、ルールで規制されても全然問題ないと思っています。常態化するなら対応する技術を磨けばいい、規制されるならルールに合わせて練習すればいい。
現状、なんとなくマナー違反、ルール上問題ない、これが混在している事が、バドミントン界にとって良くない事です。
バドミントンが新しいプレイヤーを迎え入れえる年度初め。これからルールを覚えて練習していく選手が増える時期です。新たなカテゴリで、さらに向上を目指す選手もいるでしょう。そんな選手たちが、将来迷うことのないような、ルールの整備を目指して欲しいと願います。